BZ056:ハンゲショウ Saururus chinensis——葉が白くなる半夏生の植物
植物図鑑 BZ056
医スク学術体系 | ボタニカルサイエンス 図鑑 BZ056 Last updated: 2026-05-20
![]()
基本分類
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 和名 | ハンゲショウ(半夏生・半化粧) |
| ラテン名 | Saururus chinensis (Lour.) Baill. |
| 英名 | Chinese lizard’s tail |
| 科 | ドクダミ科(Saururaceae) |
| 属 | ハンゲショウ属(Saururus) |
| 染色体数 | 2n = 22 |
| 原産地・分布 | 東アジア(日本・中国・フィリピン)。本州〜琉球の湿地・水辺・休耕田 |
| 生活型 | 多年草(草高50〜100cm) |
| 開花期 | 6〜8月(半夏生の頃) |
形態の特徴
- 白化葉:開花期に茎の上部の葉が白く変色する。これは葉緑素が失われるのではなく、ワックス層が増加して光を反射するためと考えられている(一種の擬似花弁機能)
- 花:穂状花序。花弁・萼なし。雄蕊6〜7本と雌蕊1本のみの極めてシンプルな構造
- 葉:心形、長さ5〜15cm。ドクダミと同科だが形態は異なる
- 根茎:横走する地下茎で広がる
「半夏生」の暦的意味
半夏生は七十二候の一つ、夏至から11日目頃(現在の暦で7月2日前後)。農事の節目で「田植えを終える期限」とされた。この時期にハンゲショウが白い葉を広げることから命名された。「半化粧(半分だけ化粧した)」という解釈もある——葉の半分だけ白くなる様子から。
主要フィトケミカル・活性成分
| 化合物 | 分類 | 主な生理活性 |
|---|---|---|
| クロロゲン酸 | フェノール酸 | 抗酸化 |
| ケルセチン | フラボノイド | 抗炎症 |
| デカノイルアセトアルデヒド | 脂肪族アルデヒド | 抗菌(ドクダミと共通成分) |
| アリストロクチン類似物質 | ― | 注意:腎毒性の懸念あり(研究中) |
生態・観察ポイント
湿地・水路沿い・休耕田に群生。6〜7月、白い葉が遠くからでも目立つ。白化葉は開花が終わると再び緑色に戻る——受粉が完了した後に「広告」をやめる資源節約の仕組みと解釈されている。ドクダミ科(Saururaceae)は系統的に原始的な被子植物グループで、花弁・萼のない花の構造は花の進化を考える上で重要な位置を占める。
人との関係
民間薬として皮膚炎・腫れ物の外用に利用されてきた。ただし近年アリストロクチン類似成分の腎毒性が懸念されており、内服には注意が必要。田んぼの水辺に群生する姿は日本の夏の原風景として俳句・絵画に頻出する。
BZ056 | Last updated: 2026-05-20 | 医スク学術体系「ボタニカルサイエンス」図鑑
Photo credits: 1. KENPEI / CC BY-SA 3.0 — via Wikimedia Commons
🔗 関連記事
