BZ054:ネムノキ Albizia julibrissin——就眠運動と漢方・合歓皮の薬理

植物図鑑 BZ054

医スク学術体系 | ボタニカルサイエンス 図鑑 BZ054 Last updated: 2026-05-20

ネムノキの花(Photo: Qwert1234 / CC BY-SA 3.0 via Wikimedia Commons)


基本分類

項目 内容
和名 ネムノキ(合歓木)
別名 ネム、ネムリノキ
ラテン名 Albizia julibrissin Durazz.
英名 Persian silk tree, Mimosa
マメ科(Fabaceae)
ネムノキ属(Albizia
染色体数 2n = 26
原産地・分布 イラン〜中国原産。日本では本州〜九州の河原・林縁に自生・帰化
生活型 落葉高木(樹高6〜10m)
開花期 6〜7月

形態の特徴

  • :2回偶数羽状複葉。小葉は長さ1〜1.5cmで多数つく。**夜間・雨天に閉じる就眠運動(nyctinasty)**が最大の特徴
  • :淡紅色の長い雄蕊(stamens)が刷毛状に広がる。花弁は目立たず、雄蕊の集合体が「花」に見える。蜜は雄蕊基部から分泌
  • 果実:さや(莢果)、長さ10〜15cm、扁平。マメ科らしいさやに5〜10粒の種子
  • 根粒菌:マメ科として根に根粒菌(Rhizobium属)を共生させ、窒素固定を行う

就眠運動(nyctinasty)の仕組み

ネムノキの葉が夜に閉じるのは観察の定番だが、メカニズムは精巧だ。葉枕(pulvinus)と呼ばれる葉柄基部の特殊な関節組織で、カリウムイオン(K⁺)の能動輸送によって膨圧変化が起き、葉が折りたたまれる。光・温度・概日時計(circadian clock)が統合的に制御する。「眠る」ことの適応的意義は諸説あり、蒸散抑制・雨による花粉流出防止・草食動物忌避などが提唱されている。


主要フィトケミカル・活性成分

化合物 分類 主な生理活性
ジュリブロシドA〜D(julibrosides) サポニン 抗うつ・鎮静(動物実験)
アカシセチン(acacetin) フラボン 抗炎症・抗酸化
クエルセチン フラボノイド 抗炎症・抗酸化
タンニン ポリフェノール 収斂・抗菌

生態・観察ポイント

河原・道端・林縁の陽当たりの良い場所に多い。夜に葉が閉じる様子は子どもの観察教材として最適。花の蜜は豊富でクマバチ・ミツバチが頻繁に訪花する。長い雄蕊は夜行性の蛾も誘引する(蛾媒花としての側面も持つ)。


人との関係

漢方では樹皮(合歓皮:ごうかんひ)・花(合歓花:ごうかんか)を用い、精神安定・抗うつ・不眠に処方される。現代の薬理研究でもジュリブロシド類の鎮静効果が確認されつつある。木材は軽くて加工しやすく、家具・器具材に利用。観賞樹として公園・街路に植栽される。


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Photo credits: 1. Qwert1234 / CC BY-SA 3.0 — via Wikimedia Commons

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