BZ051:ウツギ(空木)Deutzia crenata——卯の花と中空の茎

植物図鑑 BZ051

医スク学術体系 | ボタニカルサイエンス 図鑑 BZ051 Last updated: 2026-05-20

ウツギの花(Photo: Σ64 / CC BY 3.0 via Wikimedia Commons)


基本分類

項目 内容
和名 ウツギ(空木)
別名 ウノハナ(卯の花)、ユキミグサ
ラテン名 Deutzia crenata Siebold & Zucc.
英名 Fuzzy deutzia
アジサイ科(Hydrangeaceae)
ウツギ属(Deutzia
染色体数 2n = 26
原産地・分布 日本・中国。日本では北海道南部〜九州の山野、林縁、道端
生活型 落葉低木(樹高1〜3m)
開花期 5〜7月

形態の特徴

  • :髄が中空——これが「空木」の名の由来。断面を切ると完全に空洞になっている
  • :対生、長さ3〜8cm、卵形〜披針形。表面に星状毛(stellate hair)が密生し、ざらつく触感
  • :白色5弁花、直径約1cm。円錐花序に密集して咲く。花弁は外側に反り返る
  • 雄蕊:10本。花糸(filament)に翼(wing)があり、この形状が送粉昆虫の行動を誘導する
  • 果実:さく果(capsule)、直径約4mm、多数の微細な種子を含む

「卯の花」——文化的背景

旧暦4月(卯月)に咲くことから「卯の花(うのはな)」と呼ばれ、日本の初夏の象徴として万葉集・古今和歌集に登場する。「夏は来ぬ」(佐々木信綱、1896年)の歌詞「卯の花の匂う垣根に——」で広く知られる。おから(豆腐の搾りかす)が白くふわふわした見た目から「卯の花」と呼ばれるのも同じ由来。


主要フィトケミカル・活性成分

化合物 分類 主な生理活性
ウルソール酸(ursolic acid) 五環性トリテルペン 抗炎症・抗菌・抗腫瘍(研究段階)
オレアノール酸(oleanolic acid) 五環性トリテルペン 肝保護・抗炎症
ルチン(rutin) フラボノイド配糖体 毛細血管強化・抗酸化
クロロゲン酸(chlorogenic acid) フェノール酸 抗酸化・血糖調節

生態・観察ポイント

林縁・道端・石垣沿いに多く、陽当たりの良い場所を好む。訪花昆虫はハナバチ類・ハナアブ類が主。星状毛(葉の表面の多分岐毛)は乾燥防御と草食動物忌避の両方に機能する。茎の中空構造は古くから植物学の教材として用いられ、「空洞化による軽量化と材料節約」という植物の設計原理の例として引用される。


人との関係

枝の中空構造を利用して火起こし(弓錐式)に使われてきた歴史がある。古代の火起こし道具「ひきりぎね」の素材として文献に記録がある。現代では観賞植物として公園・庭園に広く植栽されるほか、生け花素材としても利用される。


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Photo credits: 1. Σ64 / CC BY 3.0 — via Wikimedia Commons

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