BZ053:ヤブデマリ Viburnum plicatum——装飾花と両性花の分業戦略

植物図鑑 BZ053

医スク学術体系 | ボタニカルサイエンス 図鑑 BZ053 Last updated: 2026-05-20

ヤブデマリの花(Photo: KENPEI / CC BY-SA 3.0 via Wikimedia Commons)


基本分類

項目 内容
和名 ヤブデマリ(藪手毬)
ラテン名 Viburnum plicatum Thunb. f. tomentosum (Thunb.) Rehder
英名 Doublefile viburnum
ガマズミ科(Adoxaceae)※旧スイカズラ科
ガマズミ属(Viburnum
染色体数 2n = 18
原産地・分布 日本・中国。本州〜九州の山地・林縁の渓流沿い
生活型 落葉低木(樹高2〜5m)
開花期 5〜6月

形態の特徴

  • 花序:水平に広がる散房花序。縁に並ぶ大きな白花は装飾花(sterile flower)——花弁のように見えるが実は萼が発達したもので不稔。中心の小さな花が**両性花(fertile flower)**で実を結ぶ
  • :対生、卵形〜楕円形。葉脈が葉縁まで平行に伸びる(羽状脈)。表面に皺がある
  • 果実:核果、楕円形。赤→黒に熟する。鳥散布
  • 樹形:枝が水平に広がる特徴的な層状樹形(tiered habit)

装飾花の進化的意味

ヤブデマリの最大の特徴は「装飾花と両性花の分業」だ。大きな白い装飾花は遠くから見える「看板」として訪花昆虫を誘引し、中心の小さな両性花が実際に受粉・結実を担う。これは**セイヨウアジサイ(Hydrangea macrophylla)**やガクアジサイと同じ戦略で、「広告費(装飾花)」と「生産(両性花)」を分離した資源配分の最適化だ。アジサイ科・ガマズミ科など複数の科で独立に進化した収斂進化の典型例。


主要フィトケミカル・活性成分

化合物 分類 主な生理活性
クロロゲン酸 フェノール酸 抗酸化
ケルセチン配糖体 フラボノイド 抗炎症・抗酸化
イリドイド配糖体 テルペン 苦味・防御物質

生態・観察ポイント

渓流沿い・林縁の湿った場所に多い。5〜6月、枝全体が白い花で覆われる光景は壮観。水平に広がる枝と花序の配置は「光の受光効率を最大化する」適応と考えられている。秋に赤い実が黒く熟する過程も観察価値がある——鳥が好む色の変化(赤は視認性が高く、黒熟は完熟シグナル)。


人との関係

観賞価値が高く、欧米の庭園で人気の日本原産樹木。英名 Doublefile viburnum は花序が枝の両側に並ぶ様子から。日本では生け花素材として使われる。


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Photo credits: 1. KENPEI / CC BY-SA 3.0 — via Wikimedia Commons

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