BZ052:ノイバラ Rosa multiflora——栽培バラの祖先と侵略的外来種の二面性

植物図鑑 BZ052

医スク学術体系 | ボタニカルサイエンス 図鑑 BZ052 Last updated: 2026-05-20

ノイバラの花(Photo: Alpsdake / CC BY-SA 3.0 via Wikimedia Commons)


基本分類

項目 内容
和名 ノイバラ(野茨)
別名 ノバラ、エイバラ
ラテン名 Rosa multiflora Thunb.
英名 Multiflora rose
バラ科(Rosaceae)
バラ属(Rosa
染色体数 2n = 14
原産地・分布 東アジア原産(日本・中国・朝鮮)。現在は北米・ヨーロッパで侵略的外来種
生活型 落葉低木(つる性、枝長2〜5m)
開花期 5〜6月

形態の特徴

  • :弓状に伸び垂れ下がるつる性。鋭い鉤状の刺(hook-shaped prickle)を持つ
  • :奇数羽状複葉、小葉5〜9枚。托葉(stipule)に細かい鋸歯があり、これが同定の鍵
  • :白色(まれに淡紅色)5弁花、直径約1.5cm。甘い強い芳香。多数が散房状に密集
  • 果実(ローズヒップ):直径6〜8mmの赤い偽果。ビタミンCが豊富

栽培バラの祖先

Rosa multiflora は現代の栽培バラ品種群の最重要親種の一つだ。特に「四季咲き性」の遺伝子を持ち、繰り返し開花する現代バラの育種に不可欠だった。園芸的に見ると、花屋で売られるほぼ全ての切り花バラにノイバラの血が流れている。


主要フィトケミカル・活性成分

化合物 分類 主な生理活性
ローズヒップのビタミンC アスコルビン酸 抗酸化、免疫強化
ルチン(rutin) フラボノイド 毛細血管強化
エラグ酸(ellagic acid) ポリフェノール 抗酸化・抗炎症
ゲラニオール(geraniol) モノテルペン 花の芳香の主成分
シトロネロール(citronellol) モノテルペン 芳香・虫除け効果

生態・観察ポイント

林縁・河原・道端・休耕地に多く、5〜6月に白い花が咲き甘い香りが漂う。秋〜冬に赤い小さな実(ローズヒップ)が鈴なりになり、鳥散布(オナガ・ツグミ等)で種子が拡散する。北米では1800年代に生け垣用として導入されたが繁殖力が強く「invasive species(侵略的外来種)」として問題になっている——日本原産の植物が海外で厄介者になっている典型例。


人との関係

古来、棘のある枝は魔除けとして家の周囲に植えられた。ローズヒップ(果実)はハーブティーとして利用され、第二次世界大戦中のイギリスでは柑橘類が不足した際にローズヒップシロップがビタミンC補給源として政府推奨された。根は漢方(営実:えいじつ)として利尿・便秘に使用。


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Photo credits: 1. Alpsdake / CC BY-SA 3.0 — via Wikimedia Commons

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