イチョウ(Ginkgo biloba L.)

イチョウ(Ginkgo biloba L.)

植物図鑑 BZ011

医スク学術体系 | ボタニカルサイエンス 図鑑 BZ011 Last updated: 2026-06-28

イチョウのボタニカルイラスト(Franz Eugen Köhler / Public Domain) イチョウのボタニカルイラスト(Franz Eugen Köhler / Public Domain)

基本分類

項目 内容
和名 イチョウ
別名・流通名 公孫樹(こうそんじゅ)、鴨脚樹(おうきゃくじゅ)、ギンニョウ
ラテン名 Ginkgo biloba L.
英名 Ginkgo, Maidenhair tree
イチョウ科 (Ginkgoaceae)
イチョウ属 (Ginkgo)
イチョウ (G. biloba)
倍数性・染色体数 2n = 24
原産地・分布 中国原産(浙江省の天目山などに野生個体群が残存)、世界各地で栽培
生活型 落葉高木(多年生木本)
栽培化の時期 数千年前から中国で実用および神聖な樹木として管理・栽培

形態の特徴

  • 樹高20mから30m以上に達する落葉高木であり、雌雄異株(しゆういしゅ)の特性を持つ
  • 葉は互生し、長い葉柄の先に扇形に広がり、先端の中央部に浅い切れ込みがある独特の形状を示す
  • 裸子植物に分類され、種子植物としては極めて原始的な特徴である「遊泳性精子」による受精を行う
  • 秋に雌株に結実する種子(銀杏)は、外種皮が酪酸やヘプタン酸を含み、成熟すると独特の強烈な悪臭を放つ
  • 木部は均質で加工しやすく、耐久性に優れるため、まな板や碁盤などの木工製品に重宝される
  • 極めて強靭な防火性能を持ち、水分を豊富に含む厚い葉肉と厚い樹皮が火災時の延焼防止機能を発揮する

イチョウの雄花(Wikimedia Commons)

イチョウの樹皮(Wikimedia Commons)

イチョウの雌花(Wikimedia Commons)


主要フィトケミカル・活性成分

化合物 分類 主な生理活性
ギンコライド (A, B, C) テルペンラクトン 強力なPAF(血小板活性化因子)受容体拮抗作用、脳血流の改善、神経保護作用
ビロバライド セスキテルペンラクトン GABA受容体の調節作用、ミトコンドリア保護、脳虚血に対する細胞保護作用
ギンコフラボノイド(ルチン、クエルセチン配糖体等) フラボノイド 抗酸化作用、血管拡張作用、毛細血管の浸透性調節、血流促進作用
4-メトキシピリドキシン (MPN) ピリドキシン(ビタミンB6)アナログ ビタミンB6拮抗作用、グルタミン酸デカルボキシラーゼ阻害による痙攣誘発(銀杏中毒)
ギンコール酸 アルキルフェノール類 アレルギー性接触皮膚炎の誘発(ウルシオールと類似構造を持つ接触性皮膚炎物質)

人との関係(利用・文化)

  • 中国から仏教の伝来とともに日本へ渡来し、長寿であることから神社や寺院の境内に「ご神木」として広く植樹されてきた
  • 茶碗蒸しなどでおなじみの「銀杏(ぎんなん)」は、内種皮の中身(胚乳)を食用とするが、4-メトキシピリドキシンによるビタミンB6欠乏と痙攣のリスクがあるため、特に小児の多量摂取は厳禁とされる
  • イチョウ葉エキス(GBE)は、脳循環改善や認知機能障害の緩和を目的として、欧州(ドイツやフランス等)で医薬品として承認され、日本国内でもサプリメントとして広く利用されている
  • 都市環境においては、大気汚染(排気ガス)や乾燥に極めて強く、アスファルトの輻射熱にも耐えるため、近代都市を代表する最も一般的な街路樹として道路設計に広く組み込まれている

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Photo credits: 1. Franz Eugen Köhler / Public Domain — via Wikimedia Commons 2. Ginkgo biloba male flower / Wikimedia Commons 3. Ginkgo biloba female flower / Wikimedia Commons 4. Ginkgo trunk bark / Wikimedia Commons

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