クスノキ(Cinnamomum camphora (L.) J.Presl)

クスノキ(Cinnamomum camphora (L.) J.Presl)

植物図鑑 BZ035

医スク学術体系 | ボタニカルサイエンス 図鑑 BZ035 Last updated: 2026-06-28

クスノキの果実(Wikimedia Commons)

クスノキのボタニカルイラスト(Wikimedia Commons)

クスノキのボタニカルイラスト(Wikimedia Commons)

クスノキのボタニカルイラスト(Wikimedia Commons)


基本分類

項目 内容
和名 クスノキ
別名・流通名 樟、楠、カンファー・ツリー
ラテン名 Cinnamomum camphora (L.) J.Presl
英名 Camphor tree, Camphor laurel
クスノキ科 (Lauraceae)
ニッケイ属 (Cinnamomum)
クスノキ (C. camphora)
分布 日本、中国南部、台湾。日本では本州中部以西に広く植栽
生活型 常緑高木

形態の特徴

  • 樹高20mから30mを超える常緑高木で、神社や寺院の境内ではご神木として圧倒的な存在感を持つ
  • 葉は互生し、卵形から広卵形。基部近くから3本の太い脈が出る三出脈が目立つ
  • 若葉を光に透かすと小さな透明点が見え、ダニ部屋と呼ばれる構造が確認できる
  • 枝葉や木部から放たれる樟脳臭は強く、防虫・防腐の記憶と直結している
  • 材は緻密で香りがあり、建築、彫刻、箪笥材、仏像材として重宝されてきた

主要成分と化学的特徴

化合物 分類 主な性質
樟脳 (d-Camphor) モノテルペンケトン 防虫、局所刺激、伝統的に鎮痛外用に利用
1,8-シネオール (Cineole) モノテルペン 揮発性、清涼感、去痰系の香り成分
サフロール (Safrole) フェニルプロパノイド 生合成・規制の文脈で重要な芳香成分
リナロール (Linalool) モノテルペンアルコール 柔らかい芳香、植物由来香料として有名

クスノキは単に「いい匂いの木」ではなく、化学防御を前面に出した生存戦略の塊だ。樟脳を自前で抱えることで、虫も菌も寄せ付けにくい。


人との関係(利用・文化)

  • 日本では古くから神社の境内や学校の校庭に植えられ、地域のシンボルとして機能してきた
  • 樟脳は防虫剤の匂いとして生活記憶に残りやすく、木そのものの存在感を匂いで刻み込む
  • 近代以前は樟脳が重要な輸出資源でもあり、台湾や日本南部の森林利用と結びついていた
  • 葉を揉んだときの匂いは強烈で、観察の入口として非常にわかりやすい

観察ポイント

  • 幹の大きさだけでなく、根元の張り方や枝張りを見ると樹勢がわかる
  • 葉を手で軽く揉んで匂いを確認すると、クスノキらしさが一発でわかる
  • 冬でも葉を落とさないため、季節をまたいで同じ場所に立っている感覚が強い
  • 神社境内の個体は樹齢や由緒とセットで語られることが多い

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