廃校薬学部OB #001:母校が、なくなる
2026.05.06
2026年3月、城西国際大学(JIU)は薬学部医療薬学科の学生募集を2027年度から停止すると発表した、
https://www.jiu.ac.jp/news/detail/id=20886
少子化の進行、薬学部志願者の動向変化、定員割れの深刻化、公式の理由はそう記されていた、
僕は2015年にその大学に入学した、
29歳だった、

「母校がなくなる」という言葉は正確ではない、
大学自体が閉校するわけではない、薬学部が学生を募集しなくなるだけだ、
ただ、2033年以降、JIUの薬学部には在校生がいなくなる、教員が残っているうちに、建物が残っているうちに、じわじわと縮んでいく、
「なくなる」という感覚は、正確ではないが、間違いでもない、

千葉県東金市、東金キャンパスに薬学部があった、
最寄り駅からバスで20分、田んぼと住宅街の間に建っていた、
活気があったかと聞かれれば、あった、少なくとも2015年の入学時には、
アベノミクスが続いていて、東京五輪の誘致が決まった頃だった、不況の実感は薄れていた、若い学生たちは「まだ行ける」と感じているように見えた、
29歳の自分から見て、それは少し遠い景色だった、

日本の薬学部の新設ラッシュは2006年の規制緩和から始まった、
10年余りで薬学部の数はほぼ倍増し、薬剤師の供給は需要を大幅に上回り始めた、姫路獨協大学薬学部が2024年度に募集停止、医療創生大学薬学部が2025年度に募集停止、JIUはそれに続く形になった、
定員を満たせない薬学部が増えたのは、JIUだけの問題ではなかった、

これは批判でも告発でもない、
少子化が進む限り、定員を維持できない私立薬学部はほかにも出てくる、医師・看護・薬学を問わず、医療教育の再編はこれからも続く話だ、
ただ、その「再編」の一つひとつには、それぞれ、そこで6年間を過ごした人たちがいる、
記録されないまま縮んでいくものを、少し書いておこうと思った、
本連載「廃校薬学部OB——存在しない記憶について」は、2027年度から学生募集を停止する城西国際大学(JIU)薬学部の2015年入学OBによる、私立薬学部崩壊の時代の記録です。
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