「脳の霧(ブレインフォグ)」は疲れではない。脳が食べている「炎症」の正体と、IQを取り戻す食事戦略
14時の会議室で、あなたのIQは半減している
「あれ、あの件なんだっけ?」 「メールの返信を書くのに、いつもの倍の時間がかかる」 「画面の文字が上滑りして、頭に入ってこない」
もし午後、頭の中に白いモヤがかかったような感覚があるなら、それは「疲れ」でも「若年性認知症」でもありません。 医学的に「ブレインフォグ(脳の霧)」と呼ばれる現象であり、その正体は「脳の慢性炎症」です。
はっきり言います。 あなたの脳のパフォーマンスを下げている犯人は、今日のランチであなたが食べたものです。
1. 【学術】リーキーガットと「脳のセキュリティホール」
なぜ、食べたものが脳を曇らせるのか? ここで「腸脳相関(Gut-Brain Axis)」という最重要キーワードが出ます。
かつて医学界では、「脳には血液脳関門(BBB)という最強の検問所があり、変な物質は通さない」と信じられていました(ID:5のGABAの話でも触れましたね)。 しかし、最新の研究で恐ろしい事実が判明しています。
「腸に穴が開くと、連動して脳の検問所もバカになる」
犯人は「ゾヌリン」と「ミクログリア」
小麦(グルテン)や過剰な糖質、質の悪い油を摂取すると、腸壁の結合を緩めるタンパク質「ゾヌリン」が分泌されます。 これが血流に乗って脳に到達すると、BBBのセキュリティゲートをこじ開けてしまいます。
すると、本来入ってはいけない毒素や炎症物質が脳へ侵入。 脳の免疫細胞である「ミクログリア」がパニックを起こし、周囲の神経細胞を攻撃し始めます。 これが「脳の炎症」であり、あなたが感じている「霧」の正体です。
つまり、脳の霧を晴らすには、脳トレをするのではなく、腸のセキュリティホール(穴)を塞ぐしかないのです。
2. 【漢方】湿気がこもる部屋。「痰湿」という概念
このメカニズムを東洋医学(漢方)で翻訳すると、驚くほど合致する概念があります。 それが「痰湿(たんしつ)」です。
- 脾(ひ=消化器): 食べたものをエネルギー(気)に変える工場。
- 湿(しつ): 工場がポンコツで、エネルギーに変換できずに溜まった「生ゴミ(湿気)」。
消化能力(脾)が落ちているのに、脂っこいものや甘いもの、冷たいものを放り込むと、体内にドロドロした湿気が発生します。 「脾は生痰の源、肺は貯痰の器」と言われますが、この湿気は上へ上へと昇り、最終的に頭を包み込みます。
雨の日に頭が重くなるのと同じ原理です。 体の中に「カビた湿気」が充満していれば、思考がクリアになるはずがありません。 漢方では、この湿気を取り除くことを「去痰(きょたん)」や「健脾(けんぴ)」と言い、これがブレインフォグ治療の鉄則となります。
3. 【実践】脳の霧を晴らす「引き算」の食事戦略
「何を食べるか(足し算)」よりも、「何を入れないか(引き算)」が重要です。 明日から以下の3つを「敵」と認識してください。
- 小麦(グルテン):
- 腸のバリアを壊す主犯格。パン、パスタ、ラーメン。ランチでこれを食べて午後眠くなるのは、血糖値だけでなく「腸の炎症」が起きている証拠です。
- 植物油脂(オメガ6):
- サラダ油、ドレッシング、揚げ物。これらは「炎症の着火剤」です。脳のミクログリアを暴走させます。
- 精製糖(砂糖):
- 血糖値の乱高下は、脳にとって「停電と過電流」を繰り返すようなもの。回路が焼き付きます。
逆に、何を入れるべきか?
- MCTオイル(中鎖脂肪酸):
- 炎症でブドウ糖がうまく使えない脳でも、「ケトン体」ならダイレクトに燃料になります。コーヒーに小さじ1杯。これが即効性の霧払いになります。
- 青魚(オメガ3):
- DHA/EPAは、暴走したミクログリアを鎮める「消火剤」です。
- 漢方薬(健脾剤):
- 「四君子湯(しくんしとう)」や「六君子湯(りっくんしとう)」など、胃腸の水分代謝を高める処方が、結果として脳をクリアにします。
結論:脳は「胃腸」の鏡である
「最近、頭が働かない」と悩む経営者が、平気でコンビニのパスタや菓子パンを食べているのを見ると、私はこう伝えます。
「社長、それはガソリンではなく、泥水を給油していますよ」
脳のスペックが落ちたのではありません。 あなたが、脳のフィルターを詰まらせる食事をしているだけです。
食事を変えれば、霧は3日で晴れます。 かつての鋭い思考力を取り戻したいなら、まずは「腸の修復」から始めましょう。
🎙 音声で語る「私の即効ハック」
記事では「食事を変えろ」という正攻法を書きましたが、 「そうは言っても、今日の午後の会議をなんとか乗り切りたい!」という緊急事態もありますよね。
音声では、私がここぞという時に使っている 「脳の霧を一瞬で吹き飛ばす、ドーピングに近い(けど合法な)ドリンクレシピ」 「思考が止まった時に、1分で脳血流を戻す物理的なアクション」 について、こっそりシェアします。
[ >> Podcast:薬剤師が隠し持つ「飲む脳みそ覚醒剤(※合法です)」のレシピ ]