目薬をさしても治らない目の疲れは「肝臓」から来ている?

【導入】その目薬は「対症療法」に過ぎない

「目が疲れたから、スーッとする目薬をさす」 「充血しているから、血管収縮剤入りの目薬で白くする」

デスクワークの最前線で戦うビジネスパーソンにとって、目薬は必須アイテムかもしれません。 しかし、経営者のあなたなら、ビジネスにおいて「対症療法」がいかに脆い解決策であるかをご存知のはずです。 表面的なトラブルシューティングを繰り返しても、根本的なボトルネックを解消しなければ、問題は必ず再発します。

実は、目の疲れも同じです。 東洋医学(漢方)の視座に立つと、目は独立したパーツではありません。 ある重要な臓器の状態を映し出す「モニター」に過ぎないのです。

今回は、目薬という局所対応の限界と、その裏にある黒幕「肝臓」とのシステム的な繋がりについて解説します。

(ここにPodcastプレーヤーが入ります)


【思考】目は「モニター」、肝臓は「本体」

東洋医学には、人体の構造を理解する上で欠かせない【五臓の相関】という概念があります。 その中でも、目と最も密接に関わっているのが「肝(かん)」です。

古典医学書『黄帝内経』には、こう記されています。 「肝は目に開竅(かいきょう)す」

これを現代のビジネス・ガジェットに翻訳すると、以下のようになります。

  • 肝臓 = PC本体(GPU・電源ユニット・HDD)
  • 目 = ディスプレイ(モニター)

もし、PCのモニター画面がチラついたり、映像が乱れたりした時、モニターの表面を必死に布で拭く人はいませんよね? 本体の熱暴走を疑ったり、ケーブルの接続を確認したりするはずです。

人間の体も同じです。 「目がショボショボする」「視界がかすむ」「奥が痛い」。 これらは目の故障ではなく、本体である「肝臓」のパフォーマンス低下や、エネルギー供給不足を知らせるアラートなのです。


【分析】「血」というリソースの枯渇

では、具体的に肝臓の何が不足しているのでしょうか。 漢方では「肝は血(けつ)を蔵(ぞう)す」と言います。肝臓は血液の貯蔵タンクです。

1. 目の酷使は「血」の浪費

目は、人体の中で脳と並んで最も「血(酸素と栄養)」を消費する器官です。 モニターが高解像度の映像を映すのに電力を食うように、私たちが細かな文字を見たり、色彩を識別したりする時、肝臓から目へ大量の血が送り込まれます。

2. 肝血虚(かんけっきょ)=ドライアイ

長時間のPC作業、寝不足、そして過度なストレス。 これらが続くと、肝臓のタンクは空っぽになります。これを【肝血虚】と呼びます。

タンクが空になれば、末端の目への供給はストップします。 涙も血液から作られますから、当然、涙の量も減ります。 これが、目薬をさしても治らないドライアイや、眼精疲労の正体です。 目が乾いているのではなく、「体内の血液リソースが枯渇している」のです。


【解決】「目を閉じる」という在庫補充

システム思考で考えれば、対策は「目薬(外部からの水分補給)」ではなく、「肝臓へのリソース補充」であるべきです。

1. 5分間の「閉目(へいもく)」

漢方には「臥(が)すれば、血は肝に帰す」という言葉があります。 横になったり、目を閉じたりすることで、手足や目に出払っていた血液が、肝臓という車庫に戻ってきます。

移動中のタクシーや電車で、スマホを見るのをやめて、5分間だけ目を閉じてください。 これはサボりではありません。「肝臓への在庫補充(リローディング)」という、極めて生産的な業務です。

2. 肝を養う「酸味」と「緑」

食事で肝臓をサポートするなら、以下の食材が有効です。

  • 酸味(収斂作用): 梅干し、レモン、お酢。漏れ出るエネルギーを引き締め、肝の回復を助けます。
  • 緑黄色野菜(補血): ほうれん草、小松菜、ニンジン。血の材料となり、目の栄養になります。
  • クコの実: 杏仁豆腐の上に乗っている赤い実。漢方では「食べる目薬」と呼ばれるほど、肝と目を養う力が強い生薬です。

【結論】全体観(Holistic View)を持つ

「木を見て森を見ず」ということわざがありますが、健康管理においては「目を見て肝を見ず」になりがちです。

目の不調は、あくまで結果です。 原因は、連日の会食で肝臓を痛めつけていることかもしれないし、睡眠不足で血を作れていないことかもしれません。 リーダーであるあなたに必要なのは、部分的な対症療法ではなく、体全体を一つのシステムとして捉える全体観(Holistic View)です。

  • 自分の目の疲れは、ただの使いすぎか? それとも「肝血虚」のサインか?
  • 今の生活習慣は、肝臓のタンクを満たせているか?

「最近、視力の低下や目の奥の痛みが気になる」という方は、眼科に行くと同時に、生活習慣の棚卸しが必要です。 パーソナル健康コンサルでは、五臓のバランスからあなたの不調の「真犯人」を特定し、根本解決へのロードマップを提案します。

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