週刊たなおろし医療時評 #004:【厚生労働省】後期高齢者医療保険料、月額8千円突破へ。7.8%増の構造的必然とは?

🎧 音声で聴く

後期高齢者医療制度の令和8・9年度保険料率について(厚生労働省)

3行まとめ

  • 後期高齢者医療制度の令和8・9年度保険料が発表され、被保険者一人当たり平均月額7,989円と前年度比578円(7.8%)の大幅増となった。厚生労働省
  • 均等割額は年額56,083円(月額4,673円)、所得割率は10.17%と設定され、医療費増加と被保険者増加の双方が保険料上昇を加速させている。厚生労働省
  • 新たに導入された「子ども分」保険料は月額194円で、少子化対策の財源として高齢者にも負担を求める政策転換が明確化された。厚生労働省

💉 毒舌メタコメント

後期高齢者医療保険料が月額8,000円の大台に乗った。前年度比7.8%増という数字は、年金受給額がほぼ横ばいか微増に留まる中で、可処分所得を確実に削り取っていく。 「団塊の世代が全員75歳以上になる2025年問題」がすでに到来し予測ではなく現実の負担増として反映された

構造的に見れば、後期高齢者医療制度は「増え続ける医療費」を「増え続ける被保険者」で薄く広く分担する仕組みだが、分母が増えても分子の増加ペースがそれを上回れば、一人当たり負担は自動的に上がる。医療の高度化、延命治療の普及、慢性疾患の長期管理——どれも「命を守る」ために必要不可欠な要素だが、その対価は確実に高齢者自身の財布を圧迫する構造になっている。

さらに注目すべきは、今回新設された「子ども分」月額194円という項目だ。少子化対策の財源を高齢者にも負担させるという政策判断は、世代間の公平性を謳いながら、実質的には「高齢者は若者より医療を使っているのだから、子育て支援にも協力すべき」というロジックの押し付けである。確かに世代間の支え合いは重要だが、年金と医療費負担で既に逼迫している高齢者家計に対して、新たな「連帯税」を課す形での少子化対策は、果たして持続可能なのか。

この保険料率は「各後期高齢者医療広域連合議会において決定され」たと記されているが、実際には厚労省が示す財政フレームと医療費推計に基づいて、各広域連合が粛々と承認するという形式的プロセスに過ぎない。高齢者自身が保険料の水準や制度設計に実質的な発言権を持つ構造にはなっていない。

「長生きするほど負担が増える」というこの制度の皮肉は、今後さらに鮮明になっていくだろう。

← 記事一覧に戻る